作品番号52「It’s My Last Word」アップしました


 この作品は、天馬流星の死生観を表しており、ネット上では次のような評などが見られる。共通しているのが、シリアスな作品という点である。

この作品は正解だった。
ギャグ尽くしの中ですっごくシリアスな存在だ。
正解ゆえに落涙滂沱。
こーいうテーマを扱った作品ってのは、扱うのに技量が必要とされるけど
技量が伴えばほぼ間違いなく打ちのめされるなあ……。
あと、この作品における小町は実にカッコいい小町ですね。
いつも思いますが、東方キャラはシリアスでもギャグでもシュールでもエロでも
万能にこなすのが最大級の魅力ですなよ。
http://members.jcom.home.ne.jp/vampirdzhija/2006-8.html

 天馬流星は、この作品を書いた2006年頃から東方SSを書くことへの疑問や人生への疑念などを悩むようになっていったのではないかと推察される。この作品には、死への願望と恐れが混沌として混在しており、読みようによっては読者への別れの挨拶のようでもある。

「私、生きましたっ! たくさん、たくさん幸せに生きましたっ!!」
 過去、犯した罪を省みて。
 「今までそれを感じたことはなかったけど、でも! 私は生きました!」
 罪悪感にさいなまれ。
 「最期まで一緒にいてくれて、ありがとうございます! 一緒に生きてくれて、ありがと
うございます!」
 それでも尚生きたいと願って、そして。
 「生きた証を……ありがとうございます!!」
 それは死を目前にして、ようやく手にすることができた。
 涙と共に、鈴仙は伝えたいことを一気に叫んだ。
 幸せに過ごさせてくれたことに感謝して。生きた証を見せてくれたことに感謝して。
 もう残り少ない命で、鈴仙は自分の心を永琳に伝えた。
 「……ありがとう」
 不意に、永琳の腕が鈴仙を包む。
 「私は、その姿が好きだったわ。そうやって生きている貴方の姿が、本当に好きだったわ」
 ぎゅっと、優しく、永琳は鈴仙を抱きしめた。
 その言葉はあの死神が言っていたものと同じだった。鈴仙の姿勢は、確かに生きた証に
なっていたのだ。
「師匠……」
 そして――。
「生きている証を、ありがとう」
「生きた証を、ありがとう」

 この作品はそれまで多作であった天馬の2006年の最初の作品であり、その年はあと2作しか書いていない。また、作風もどんどんシリアス性が高くなっていく。天馬流星からの脱皮を図りはじめた時期かもしれない。

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