ヒトガタの想い 第五話アップ


今日は28回目の月☆流星忌(月命日)です。

全六話の「ヒトガタの想い」の第五話をアップしました。

この第五話はちょっとおどろおどろしい!ヒトガタが猟奇殺人事件を起こし、その想いを語ります。まるでホラー小説のようですが、切り裂きジャックが出てくる意外性もあります。

――キリリ、キチキチ

でも、年を追うごとにその回数は減っていき、さらに最近になって焦りが出てきた。そのせいで、この一ヶ月間で四人殺している。今までは頻度も少なく、世界中で殺ってきたから注目されることはなかったけど、今回はだいぶやりすぎた。
ロンドン、「切り裂きジャック事件」。メディアでも大々的に扱われている、連続猟奇殺人事件。夜の霧に紛れ、絶対に見つからない幻影のような殺人鬼。その犯人が、私だった。時を止めて殺し、逃げているから絶対に捕まらないけど。捕まったとしても絶対逃げおおせられる自信あるし。
だけどこれだけ派手にやって、私は何も手に入れていない。どんどんと、殺人鬼としての履歴が増えていくだけ。何かにとりつかれたように人を殺し続ける自動人形。
そういえば、一度いわくつきの人形として売られたときに言われたわね。
「殺人人形」って。
言いえて妙だわ。そりゃナイフ持ってるし持ち主を殺したこともあるけど。でも確かに私は、命の意味を知るために人を殺す、いわば操り人形なんだ。
強烈な皮肉ね。操り人形じゃないことを証明しようとして、操られてるみたいに同じことを繰り返し続けてきたんだから。

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