小  説

03-東方野球譚 第3話

ロ「インターバルも短くさあ3回表!紅魔郷は2番からの好打順!バッターは永遠の巫女、
博麗霊夢!」
霊「アリス、初球は?」ア「私には教えなかったくせに……」
霊「咲夜とのサイン違いよ」
ア「えーとね、最初は……」
藍「こら!人形使い!」
ア「うっ!」
藍「まったく……」
霊「バレたみたいね……」
藍「……まあいい。そんなに教えたければ、私が教えてやる」
ア・霊「え?」
藍「ただし……コイツだがな」
ロ「ピッチャー藍、大きく振りかぶった!」
藍「魔球……十二神将!!」

  シャッ!

ア・霊「うわっ!!」
ロ「ボ、ボールが!?」

  ギョン!ガシャ!

霊「……な、何よ今の」
ロ「ボールが12個に分かれました!後ろの網に当たったら戻りましたが、まさかこれが
あの分身魔球かー!!?」
ホ「あのレティさん。今の12個に分かれてたんですか?」
ロ「いや、十二神将って言ってたし……」
ホ「テキトーですね……」
ロ「判定はボールでしたが、しかしこれは打ちにくい!霊夢どう対応するか!」
霊「打てるワケないじゃない……」
ア「捕れないし」
藍「文句言うな。ちゃんと予告してやってるんだぞ」

  バァン!
  
ロ「またしても魔球十二神将!霊夢手が出ません!」

  バン!

ロ「ストライクアウト!あんな球なのに、むしろボールのほうが勝手にミットに収まって
いるように見えます!」
霊「そりゃそうよ。そうしてんだから」
ア「人形使いだからね。ゴメン霊夢」
霊「別に。んじゃ」
ロ「霊夢三振ワンアウト!続いては十六夜咲夜!このバッターに魔球は通じるのか!?」
藍「魔球……アルティメットブディスト!」
咲「幻世、ザ・ワールド!!」


  ――キィィィ……
  カィン!
  

咲「ちっ!」
ロ「咲夜打ったー!やはり時を止めたか!レフト前!ワンアウトランナー1塁!」
咲「打ち損じたわ」
藍「当たり前だ。なにしろ魔球だからな。時を止めたからといってそうほいほい打てるも
のじゃあない」
ロ「しかし、次なるバッター、フランドールは残念ながら……」
フ「なんかお呼びかしら?」
ロ「え?」
フ「呼ばれて飛び出て……」
魔「出る杭は打たれるぜ」
フ「どっちかっつーと打つ方だけどね」
ロ「出ました悪魔の妹にして悪魔な妹、フランドール・スカーレット!!マジで今までど
こにいたのかー!?」
フ「それは乙女のヒ・ミ・ツ?」
パ「495歳のくせに」
ロ「さあ4番フランドールがバッターボックスに入ります!スタジアム内が騒然として参
りました!」
藍「……魔球、十二神将!」
ロ「藍、クイックモーションから魔球ー!」
フ「禁忌、レーヴァテイン!!」

  ズジャアアアアア!!!

ロ「バットがー!!」

  キィィン!!

ロ「いったー!!!外野追いつけない!!ボールは遥か彼方へ!!場外ホームラーン!!
突然戻ってきたフランドール、禁忌レーヴァテイン打法で場外同点ツーラーン!紅魔スタ
ジアムを飛び出しました2対2!
3回表、紅魔郷チーム同点に追いつきましたー!!」
レ・紅「やったー!!」
藍「…………!」
ホ「あのバット、反則じゃないんですか?バットにレーヴァテインって。バットって、確
か規格あったはずですけど」
ロ「あれはあくまで打法の1つですからいいんですよ」
咲「ナイスバッティングですフランドール様」
フ「ありがと」
魔「私の打点がなくなったじゃないか」
フ「いいじゃん別に」
魔「おいしいとこだけ持っていきやがって」
レ「すごかったわー。よくやったわねフランドール」
フ「へへー。もっとほめてほめて」
ロ「バッターは霧雨魔理沙。先ほどの反省をどう生かすか!」
魔「ま、フランに続きたいとこだけど……」
ロ「ピッチャー藍ワインドアップ!」
魔「当然、単打狙いだぜ」

  カキィン!

妖「はっ!!」

  パン!

ロ「痛烈な打球は三遊間!しかしショート魂魄妖夢飛びついた!」
魔「くそっ!」
ロ「急いで1塁に投げる!タイミングは微妙!しかしアウト!判定はアウトです!」
魔「くーっ」
霊「残念だったわね」
魔「みょんなところでがんばりやがって」
ロ「次は6番レミリア!さあ妹に続けるかー!?」
フ「お姉様ー!」

  キィン!

ロ「これも打球は速い!レフトどうだー!?」
プ「たぁっ!」

  パシイ!

ロ「捕ったー!レフトルナサ捕りましたー!眠そうな顔だがこれもファインプレー!」
プ「今ここで目だっておかないと……」
メ・リ「姉さんズルい……」
ロ「2つの好プレーに阻まれ、紅魔郷チーム追加点はありません。しかし!この回フラン
ドールの場外ツーランで同点に
追いつきました!2対2です!」
                    3回表 終了


藍「しまった……」
橙「だ、大丈夫ですよ藍様!」
紫「まだ前半だもの。十分勝ち越せるチャンスはあるわ」
藍「ですが、雲行きが怪しくなっているのも事実です」
幽「あ、本当だわ」
リ「え、そっちなの?」
メ「ホントだ。これがどう転ぶかしらねえ」
妖「なんにせよ、ここでなんとかしなければね」
藍「そうだな。あ、そうだ橙」
橙「何ですか?」
藍「ちょっと来い……」



ロ「3回裏、妖々夢の攻撃は先ほどファインプレーを見せた9番、ルナサ・プリズムリバー
ですが……」
ホ「今の空白の間に三振してしまいました。絶好調ですね、咲夜選手」
ロ「打順はトップに戻って橙ですが……」
咲・霊「……?」
ホ「左打席?」
ロ「これはどういうことでしょう?橙選手、左打席に入っています。何を狙っているので
しょうか?」
咲「まあ、いいわ……」
ロ「咲夜第1球!……っと、バント!橙、バントの構えだ!」
ホ「セフティー……!」
咲「……!」

  キン

ロ「転がした!」
橙「飛翔韋駄天!!」

  ギャッ!

咲「ザ・ワールド!」

  ――キィン

咲「……く」

  ズザー

ロ「セーフ!セーフです!咲夜選手、時を止めたようだが間に合わない!飛翔韋駄天のほ
うが速かった!ワンアウトランナー1塁!」
藍「よし!よくやった橙!」
紫「成功ね。それじゃあ私も」
ロ「2番、傘で打つ紫がバッター。今度はどう仕掛けてくるか。咲夜第1球!」
橙「飛翔韋駄天!」
咲「くっ!」
ロ「盗塁成功!その手があったか!橙、飛翔韋駄天で盗塁!」
ホ「これは……盗塁率100%ですね」
咲「……けど、それならホームスチールさせなきゃいいだけのことよ。奇術、エターナル
ミーク!!」
霊「ちょっ……!」

  ドン!

ロ「来ました豪速球523キロ!ワンエンドワン!」
咲「エターナルミーク!!」

  ズドン!

咲「殺人ドール!」
ロ「三振!三振です!容赦しません十六夜咲夜!橙も走れない!そして続いては、初回に
ランニングホームランを打った魂魄妖夢!」
妖「どれだけ速くしても無駄よ。私が作った桜のバット、打てぬものなど、少ししかない!」
霊「……自作なんだ、それ」
咲「能書きはいいわ……殺人ドール!」

  キィン!

ロ「ファール!初球はファールです!第2球!」

  キン!

咲「……このっ!」
妖「……はっ!!」

  カキィン!

咲「!」
ロ「どうだー!?」
妖「……入らない」
ロ「きれましたー。ファールー」
ホ「はぁー。なかなか緊張感のある……ていうか、殺気?」
咲「ハァ……ハァ……」
霊(咲夜の息が……)
霊「タイム!」
ロ「おっとここで霊夢がタイムをかけます。内野が集まってきました」
ホ「ピンチですからね。それに熱くなってると思いますよ咲夜さん」
咲「何?」
霊「あんたねー、スペル使いすぎよ。もう息切れてるじゃない」
咲「ちょうどいいハンデよ」
チ「仕方ないわね。それじゃああたしが投げ……」
霊「チルノは黙ってて。魔理沙、咲夜抑えてちょっと向こう向いて」
魔「あいよ」
咲「ちょっと、何?」
霊「まあ聞きなさいよ。咲夜、こないだレミリアがうちに来たのは知ってるでしょ?」
咲「知ってるわ」
霊「そのとき私とレミリアがちょっとすごいことになったのは知ってる?」
咲「は?」
レ「ああ、アレ?」
霊「そう、アレ」
咲「ま、待って。何?アレって……」
レ「スゴかったわよー。霊夢ったら……」
咲「お、お嬢様!?今なんか遠い目してませんか!?」
魔「まあ落ち着け」
霊「そうね、何かもう、アレは……」
レ「怒涛の激しさだったわね」
霊「ヒィヒィ言ってたわね、レミリア」
咲「ちょっとー!!アンタ何したのよー!!」
霊「教えて欲しい?」
咲「当たり前でしょ!!」
霊「じゃあ……ちゃんと抑えてね」
咲「……そうくるワケ?」
レ「試合が終わったら教えてあげるわ。がんばってね、咲夜」
咲「……了解しました」魔「霊夢ー。咲夜の目が座ってるぞー」
霊「ならOKね。1球で終わるわよ、多分」
ロ「少々長くタイムを取っていましたが、試合再開です。バッターは妖夢」
咲「悪いけど、もう打たせないわ。誰にもね……」
ロ「セットポジションで咲夜構える!」
咲「幻葬……夜霧の幻影殺人鬼!!!」

  ドバン!!!

ロ「うわ早っ!!そして速っ!!ノーモーションから右腕だけで400キロ!!ものすご
いピッチングで妖夢を三振に
打ち取りましたピッチャー咲夜!!」
ホ「……何があったんでしょうか」
ロ「妖夢三振スリーアウト!橙の攻撃は実りませんでした0点です!」
                 
                 
                 
                 3回裏 終了



咲「さあ抑えたわよ。教えなさい」
霊「試合が終わってからって言ったじゃない。少し落ち着きなさいよ」
パ「……何があったの?」
魔「まあ、色々とな」



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